店長・安藤克洋 インタビュー
※これは駅家駅から車で4分の場所にある、コーヒ専門店『SUIREN+ Coffee Roaster』に4時間以上の滞在、店長である安藤さんに行った約2時間のインタビューを記事にしたものである。
◆目次
01, 自己紹介
02, 店内の紹介
03, コーヒーはいつだってポジティブ
04, SUIREN+の魅力
05, 産地の方への感謝
06, コーヒーの価値を広げたい。
07, 店長と講師
08, この仕事をすることで
09, 最後に
01, 自己紹介
SUIREN+の店長/焙煎士
安藤 克洋
広島県福山市出身。今年47歳。
調理師学校で料理全般と製菓を学び、洋菓子店、日本料理店を経て、一旦飲食店を離れる。その後、縁あって自家焙煎カフェ『cafe すいれん』の店長・焙煎士として4年半従事する。
2013年『SUIREN+ Coffee Roaster』を開業。Qグレーだなどの資格を持つ。
今回はそんな安藤さんの仕事以外にもルーツやオリジンを聞いてきた。
02, 店内の紹介
広島県福山市駅家町のHOLM230南館1Fにあるコーヒー専門店。店内にはコーヒーの香りが広がり、落ち着いた雰囲気の内装で、昼と夜で全く違った顔を見せます。
店内はオープンキッチン式でカウンター席とテーブル席、合わせて6席あるが、テイクアウトも可能な為、お持ち帰りをするお客様も多く訪れる。
ここでは自家焙煎のコーヒーを飲めるお店というイメージの他にも、様々な良さがあるので、今回はそれも含めて紹介していきたいと思う。
03, コーヒーはいつだってポジティブ
コーヒーに携わっている業界の人々は、ポジティブな話をするそうで、簡単な話コーヒーに対しての”ネガティブな”発言は本来消費者側が受け取るものなんだと安藤さんは語る。
●コーヒーはいつだってネガティブよりポジティブ
安:『珈琲はいつもネガティブな表現をされがち。
でも僕らにとって珈琲はに対してガティブなことは言わない。』
安:『”苦い、酸っぱい、不味い”そんなことはいくらでも言えるけど、じゃあ良いところ言ってみてって言われたら、やっぱり言葉にはできない。あそこの店好きじゃないとは言えるけど、じゃあなんでってってなった時に、はっきりとした理由は言えない。「味が合わないだとか」そうゆうのはいくらでも言える。だけど良い部分はなかなか言えない。』
安:『だからこそのQグレーダー。大会や審査の時、選手が持ち寄せたコーヒーのポジティブなところを探してあげて、いかにして点数を上げてあげれるか。』
あくまでコーヒーに対してネガティブな発言をするのは消費者であるこちら側で、商品を出す安藤さんたちにとってそんな感情は全くないと語った。
また安藤さんは自分が持っているQグレーダーの資格を、他の人物のためにも役立てられる手段として捉えていると語った。
Qグレーダーとは
Qグレーダーとは
世界でたったひとつの国際的なコーヒー鑑定士資格。
アメリカのSCAA(米国スペシャリティコーヒー教会)が資格を主催しており、取得するにはコーヒーに関する高度な技術・知識を要求される。
(他の資格は団体の中での資格だったりすため)
Qグレーダーのメリット
・生産に携わることができる。実際に携わっている
・海外に行って豆を視察、格付けができる。
・大会なので審査員として出向くことができる。
・世界的に認められたものなので、資格が一生ものである。
安藤さんにとってこの資格は様々な経験を行う上での手段だと考え、僕も、誇りを持てる資格なんだと感じた。
因みに今まで福山市でQグレーダーの資格を持っていたのは安藤さんただ一人だったらしく、先日安藤さんの知人が遂に福山で2人目になったのだとか。
●大人に対しても同じ事
安:『それは人でも同じことで、嫌いだと思うだけじゃなくて、その人の良いとこも見つけてあげれると、めちゃめちゃ付き合いやすい。』
安:『だからファーストフード店とかで、簡単なランチに出てくるコーヒーなんかも「このお店クソ不味いじゃん」じゃなくて、値段に見合った珈琲だと考えるだとか感じてみたりしてほしい。』
安藤さんの話を聞いて、肯定的な意見が親しみを生み、寄り添う気持ちが、新たなつながりを見せるのだと感じた。また、自分が苦手とする相手も自分の考え方次第で、親しみを持って接することができるんだと感じた。
04, SUIREN+の魅力
●Qグレーダーを取得した安藤さんが経営している。
●自家焙煎機で焙煎したコーヒーが飲める。
●産地へ行っている/生産に携わっている。
●自分で買い付けた産地の豆を使用している。
●さらにそれをグッズとして販売している。
●自分で考案したロゴマーク
唯一性、もとい他のお店にはない強みは大まかにこの4つであると感じた。
店内・外観ともにオシャレで訪れたくなる見た目ももちろんそうだが、今回はSUIREN+の内面的な工程を話そうと思う。
●Qグレーダーを取得した安藤さんが経営している。
これは言わずもなが、安藤さんの強みであり、他の要素にも直結している。何よりこのSUIREN+の魅力を引き立たせるのはこの資格が鍵となっている。
●自家焙煎機で焙煎したコーヒーが飲める。
焙煎機で焙煎したコーヒーを飲める場所となると探さないとそうあるものではない。勿論SUIREN+では店内奥に自家焙煎機が置かれていて、お店で買える全ての商品が生豆から取り寄せ、新鮮な状態で焙煎機で焙煎されたものである。
●産地へ行っている/生産に携わっている。
実際に産地へ出向き、農園の地を踏み、現地の方と話し合って豆を見ることで、輸入品を受け取るのとは違って、各国本来の豆を肉眼で確信しながら、厳選を行う。またQグレーダーの資格を持っている安藤さんなので、視察を行うことも、生産に携わることもできるし、実際に携わっている。
また、各国の山地へ出向き、農家の方と繋がることで、安藤さんの人の良さが構成されているのだと感じた。
◆実際に訪れた国々
・インドネシア バリ島/スマトラ島
・ラオス
・中国
・台湾 阿里山
●自分で買い付けた産地の豆を使用している。
勿論SUIREN+で飲むことのできる商品は生豆から焙煎されたコーヒーであり、安藤さんが実際に産地へ訪れて、厳選されたものを、このお店のオリジナル商品として販売している。なのでここでしか飲むことのできないコーヒーを楽しむことができる。
各国の産地へ出向いて生産にも携わっているので、同時に原料にこだわることが出来る。
●さらにそれをグッズとして販売している。
SUIREN+では、実際にお店で飲むものと同じ豆を入れたオリジナル商品を売っているので、お持ち帰りをして、実際にお家で焙煎されたコーヒーを飲むことができる。またコーヒー豆の他にタンブラーやマグカップ・フィルターなど、全てオリジナルなものをグッズとして販売している。
●自分で考案したロゴマーク
実際のSUIREN+ロゴは、業者に頼んで制作したモノではなく、安藤さんたちがAdobeのイラレなどを使って制作モしたノなのだとか。自分で制作した分、商品やお店への思いやりが強いらしい。
どれもSUIREN+の魅力を引き立たせる大事な要素であり、コーヒ専門店として、最大の魅力であると感じた。
05, 産地の方への感謝
安:「ただ国外の豆を選んで出しているお店とは違い、自らの足で手で、仕上げている。よりフレッシュな状態でお客様に提供したいし、だからこそ適当なことはできないし、したくない。そういうところに力を入れたい。そういった行動が、生産者様への感謝に繋がると思って営業をしている。」
何度も異国の地へ訪れる安藤さんにとってその地で出会える人々との思い出が宝物なだと語っていた。自分がこうして買い寄せた豆を販売することによって、その地で暮らす人々に少しだけでも良い思いをしてあげたいと感じ、コーヒーを販売しているんだそう。実際そこでは、安藤さんにとってかけがえのない人生の選択になったのだとか。
06,コーヒーの価値を広げたい
日本でのコーヒーという飲み物は、私生活に多く関わりを持っている。人によっては毎日飲む事もあれば、会社内で、自宅で、お店で、簡単に飲むことができる我々日本人にとって親が深い飲み物である。そんなコーヒーではあるが、認知の良さとは裏腹に、コーヒー本来の価値の低下が業界の界隈では少なからずもささやかれている。
コーヒーという文化が広まっていることは安藤さんにとっても嬉しいことなのだが、インスタントと違い、本来豆から焙煎される様なコーヒーは高くて当たり前なんだとか。実際、安藤さんが産地へ訪れるたびに感じるのは、産地へいかなけらばわからない生産の大変さと楽しさであると語った。実際に現地で農家の地面に触れ、生産に携わることで、どれだけの過程を超えて豆が作られているのかを知った上で、それに対してコーヒーの価値が見合っていないと語る。お店でいただけるランチのサービス品だと、消費者側にとっては嬉しいが、産地の人にとっては嬉しくない。安藤さんは、貧しい生活を送る産地の人達がちゃんとした生活を送れる様にしたいのだと語った。
そういった経緯の元、経営を続けていく中で、稀に日本でも特別な出会いをされることがある様で、続いてはその話題について触れようと思う。
07,店長と講師
安:「お客さんに役職なんかを聞くことことってまずないんだけど、何度も訪れるお客さんとかは身の上話なんかをする事もあって、とあるお客さんが自分は教師をやっているって話してくれて。あぁ、そうなんですねって返すと、自分の勤める学校で講師として講演をしてくれないかって提案をしてきたんだ。」
そういった経緯から、小学6年生の講演会の講師として参加すようになり、その時は珈琲の話はもちろん、各国に訪れた時の話をするのだと語った。「当時はラオスに行ってたから、ラオスの話をするとほとんどの子はラオスがどこかわからなくて、写真などを使って紹介をした。」と語る。
●学生に話す内容
安:「日本で生活している中の不便が、ラオスでは当たり前。だから、現地につけば、それは不便じゃなくて、そこでのールに変わる。水も流れない。食べ物の好き嫌いなんてできる余裕はない。電波もなければ、スマホもない。トイレもない。パスポートもない。でもそれは現地では当たり前。そこで嫌々いっても、じゃあしなきゃいいじゃんて事になる。そんな場所に訪れていると、日本に戻ってきて、多少嫌なことがあっても、どうでもいいってなっちゃうんだよね。その分日本人が冷たく感じちゃうことも多々ある。逆に海外はみんな家族の仲が良い。それと女性に優しい。」
安:「国によってはイメージの悪いところもあるけど、実際行って肌で感じて見たらそんなことないんだよね。結局は人と人だから付き合ってみないとわからない。そこで自分がどう感じるかが大切。実際ラオスの人たちはすごくいい人たちばっかりだったし、言葉が違っても仲良くなれる。」
安:「コーヒーに携わる仕事をしていたが自分の勝手な都合で辞めてしまい、そのあと就いた仕事も辞めて、結局今に至る。ってことは今やってる仕事って、ものすごい自分にとってやりがいのあるものだと語る。その大切さに気づけたのは、回り道をしてきた結果があったからで。だからいろんなことにチャレンジすることは意味のないことなんかじゃなくて、すごい大切なこと。もし仮にまっすぐ目標にたどり着いた人なら、挫折した時そのまま落下しちゃうけど、回り道した人はそうじゃないから。目標にたどり着くまでの過程は、決してまっすぐである必要はない。途中で見つける宝物あるかもしれない。そんな人生もあるんだよって。」
そんな話を公演ではすると安藤さんは語った。
●異国の地へ訪れて思うこと
安「誰かに会うわけじゃなくて、誰かに会う前提で何かを買っていくことがほとんど。ラオスとかいったら色鉛筆とか渡したら大喜び。その場所によって価値も需要も様々なんだと毎回気付かされている。それで喜んでいる自分も嬉しい。
「例えばニューバランスのスニーカなんかを履いていくんだけど、現地で泥だらけになったのを、その現地の方にプレゼントして帰る。泥だらけの靴を送るのもこっちからしたら失礼だと思うんだけど、できる限り僕は衣類とかは着てもらったりして、もう置いて帰って、喜んでもらえるし、帰る頃には荷物も軽くなっている一石二鳥。でも先進国でそれしちゃったら違うでしょ?あんたなにやってるのって、いらねーよってなっちゃうし。だからそうゆう場所の人は心が優しい。」
「貧しいんだけど、心は優しい。だからそうゆうとこに行くと、またなんかしてあげたいって思う気持ちが、この仕事のやりがいに変わっている。だから僕は先進国なんて言ったことがない。発展途上国しか行っていない。」
「アナログなものもたくさんあるし、実際触れてみるとすごい楽しいじゃんって気付かされる。そうゆうところにヒントがあるから行きたくなる。絵本なんかも日本製のものだと文字が読めなくても子供たちは絵でストーリーを読んじゃうから、それで伝わる。だから交流ってのは日本人同士も大切だけど、異国の人との繋がりっていうのが、自分にいろんなことを教えてくれる。」
「それに自分が日本にいるっていう幸せが感じられる。それをありがたいなって感じなきゃならない。」
安:「教育は受けれる。医療は受けれる。当たり前に生きていくことが許されている。どこまで僕たちってわがままなんだろう。バケツの残飯を食べてる。でも何もしてあげられない。だから今不満があってもこの子たちに比べたらどうってことはないと思えれる。こんなことでくよくよしている場合じゃないなって思う。そうゆうとこで強くなる。」
実際に訪れている安藤さんだからこそ、話される言葉に説得力があり、波の大人の話す言葉より素直に聞き入れる体制でお話が聞けた。
08,今の若者に伝えたいこと
今度はそれぞれの将来の話となり、一人ずつ自分の将来していきたいことや不安などを安藤さんに話した。安藤さんは例え話などを加えながら、僕たちが望む将来に対して以下の様なことを話してくれた。
安:「何事も経験。国内を回るでもいいし、世界を回るのもいい。遊びに行くことも大切。だから若者には、制度や環境の所為で、個人の主張や自由がきかなくなっている今だからこそ守りに入って欲しくないと思っている。とにかくチャレンジする。実際にやってみて気づくことがあるし、そこに無駄はない。」
同行していたチームメンバーは実際に将来を迷っている状態だったため、安藤さんのお話を話を聞いた後、本人にあの後どう感じたか話を聞いたところ、今回のインタビューがとてもタメになったと話し、今では更なる環境の進化と意識が変わっている姿が見受けられる。
09,この仕事をすることで
●自分は恵まれている
安:「よくお客さんからこの仕事楽しいでしょって言われるけど、仕事が楽しくてたまらない。
仕事自体やらされてる感じが全くないし、だからやらなきゃいけないし、いくらやっても苦じゃない。逆にこの仕事を辞めることが苦しい、嫌だと、苦だと感じたことがありがたいことに今まで一度もない。12時だろうが1時だろうが、仕事が遅くなったり、やってるしゴタがなんにもうまくいかなくても嫌になんない。」
安:「自分にとってこの仕事が天職。本当に楽しい、コロナが終息したら次はどこに言ってやろうかなとか、今のうちにいっぱいお金稼いで、海外に行った際に現地の人へのお土産もちょっとは持っていきたいなって思う。」
著:MACHI-kado。管理者兼カメラマン 山下諒
camera:Ryokucha, Namiki